後巷説百物語

2004年8月31日 読書
やっと読みました。いつもありがとー北村さん!
こんなに重い本をおくってくれて…
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なんてすごいんだー京極さん!!
これが直木賞を取ったからといって、これだけ読んでは絶対にだめです。これがどうしてこんなに切ないのか、ちゃんと又一さんの話を、「哂う伊衛門」、「巷説百物語」「続巷説百物語」とちゃんと読んできた人じゃないと全然わかりませんよ!これだけ読んじゃ駄目です!

さらに、できれば、京極さんの中善寺さんのシリーズをちゃんと読んでいないと、わからないことも出てきます。
和田和尚や由良さんにこんなとこで出会うなんて〜。

私たちの生きているこの世界では、単にお話の中のものとしか思えない江戸時代やお化けや、そうした全てのものが、昔のこととして独立してあるのではなくて、ほんとはずっと、こうやって生きつづけて、今でも私たちの、この生活に、ほんとにつながってきてるんだって、全シリーズの歴史を通して京極さんは訴えてきてる。

小豆洗いにはじまった百介の、江戸時代の百物語が、こうやって文明開化まで生き、そうしてそれがまた戦後の中善寺さんたちの時代までこうして生きていくなんて。私たち日本人の中で、すっぽり抜けてしまっている、でもほんとはそこからつながっているはずの、知らない記憶。

言葉にしちゃうとうまくいえないけど、ずっと全部読んできた人には、それが感じとれるよね。

それから、百介が、初めて小夜ちゃんのことで又一に頼られて、涙を流すシーンで私も泣いた。
シリーズの最初から、いつしか又一さんとその世界に憧れて、憧れて、でもその世界に行く勇気はなくて、結局憧れ続けたまま、又一さんにおいていかれてしまった百介(つまりは感情移入している私たち)の、前巻の最後で一度は消えてしまった又一さんへの懐かしさが、痛いほどよくわかる。

是非、全部読んでから、これは読んでくださいね!
(純粋に1冊の本としては、続巷説百物語のほうがおもしろいかな、と思うけど)

毎回思うのは、京極さんは、自分のキャラへの愛情が半端じゃないということ。だから、私も、同じように彼らを愛してしまうのだとおもう。

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ria

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